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植物に親しもう③ー食べられる野草2 気を付けたい事と有毒植物

「なせば成る なさねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」で知られる米沢藩の上杉鷹山が飢饉に備えるため、穀物の代わりに食べられる植物をまとめた「かてもの」という本をご存知でしょうか?そこには約80種類の植物の食べ方や料理方法が記されていました。

このように、日本には昔から野草を食べる知恵と文化がありました。いざというときに食べられる野草の知識を分かち合うことができれば、パーマカルチャーの視点でいう「ライフラインの複数バックアップ」になり、命を守ることができます。またそうした植物の活用法が広まれば、自然に対する感謝や大事にしたいと思う気持ちも高まるでしょう。

ただし、植物の中には薬にも、毒にもなるものがあり、万一見誤ってしまうと、食中毒や死に至るケースもあります。今回は山野草に親しむ上で、まずはじめに知っておきたいことと、間違えやすい有毒植物についてまとめてみました。

*「植物に親しもう」過去の記事はこちらから


野草摘みで気を付けたいコト

服装


アブや蜂、ヒル、ムカデなど、虫さされや、植物のとげ、紫外線などから守るためにも、肌を露出する服装は避け、なるべく長袖、長ズボンがオススメです。帽子をかぶり、歩きやすい靴を選ぶと良いでしょう。

場所の確認


公立自然公園のような採取禁止の場所になっていないか、また、その土地の所有者が大事にしている場合もあるので、看板や近隣の方に確認するなどして採取して問題ない場所かどうかを確認しましょう。

人、自然への配慮


次の人や、翌年以降の植生を考え、
①植物が再生できるよう根は残し、使いきれる量、必要な部分のみを採取しましょう。
②個体数が少ないものや、減少傾向にあるものは採取は控えましょう。
③絶滅危惧種など、保護している貴重な植物が身近にあるかもしれません。必要以上に他の植物を踏み込んだり、傷つけないように注意しましょう。希少植物は盗掘の危険があるため、ネットに写真や自生地を掲載しないようにしましょう。
④ゴミは必ず持ち帰り自然を荒らさないように気を付けましょう。

食べられるものかよく確認する


野草とよく似る有毒植物が混在している場合があるので、一つひとつ確認し、はっきり判別できないモノは、決して口にしないようにしましょう。河川の汚染や、農薬、除草剤の散布などの影響にも気を付けましょう。

間違えやすい有毒植物

イヌサフラン


《間違えやすい植物》葉:ギボウシ、ギョウジャニンニク 球根:ジャガイモ、タマネギ
《中毒症状》嘔吐、下痢、皮膚の知覚減退、呼吸困難。死亡例が多いので注意。

クワズイモ


《間違えやすい植物》サトイモ
《中毒症状》悪心、嘔吐、下痢、麻痺、皮膚炎。

ジキタリス


《間違えやすい植物》若葉:コンフリー ※青汁にして中毒したケースもあるので注意
《中毒症状》嘔吐、下痢、心不全、心臓停止。

シキミ


《間違えやすい植物》実:八角(スターアニス)
《中毒症状》けいれん、呼吸困難、量が多いと死に至る。

スイセン


《間違えやすい植物》ニラ、玉ねぎ
《中毒症状》下痢、嘔吐、頭痛、こん睡。食中毒の患者数が多い(年10~20件)。

スズラン


《間違えやすい植物》ギョウジャニンニク
《中毒症状》激しい腹痛と下痢、嘔吐、精神錯乱、こん睡。

チョウセンアサガオ


《間違えやすい植物》ヨウサイ、モロヘイヤ、アシタバ ※キチガイナスビと呼ばれる
《中毒症状》強い興奮、精神錯乱。量が多いと死に至る。

ドクゼリ


《間違えやすい植物》セリ ※セリに似る有毒植物ウマノアシガタ、キツネノボタン、クサノオウにも注意
《中毒症状》嘔吐、精神錯乱、けいれん、呼吸困難、窒息。量が多いと死に至る。

ドクニンジン


《間違えやすい植物》パセリ、シャク ※毒パセリと呼ばれる
《中毒症状》嘔吐、下痢、呼吸の弱まり、精神錯乱、けいれん、こん睡、呼吸困難。量が多いと死に至る。

トリカブト


《間違えやすい植物》ニリンソウ ※トリカブトと混在し誤食多い
《中毒症状》体の下部から次第に上部へけいれんし、全身不随となり、意識不明、呼吸困難、突然死。世界的に毒矢にも用いられた。

バイケイソウ


《間違えやすい植物》ギョウジャニンニク、オオバギボウシ(別名ウルイ)
《中毒症状》嘔吐、下痢。

ヨウシュヤマゴボウ (別名アメリカヤマゴボウ)


《間違えやすい植物》根:モリアザミ、実:ヤマブドウ
《中毒症状》嘔吐、下痢。量が多いとけいれん、意識障害、呼吸障害、心臓麻痺。根は刺激があるので素手で触らない。

編集後記

植物の世界を深めていくのはとてもワクワクしますが、毒のほかにも、触るとかぶれてしまうものもあります。自分の身を守ると同時に、自然への配慮も十分にして、植物やそこに宿る命と、互いに嬉しい関係を築き、永続的にお付き合いを深めていけるようになりたいものですね!

参考

・「上野昭・寺田洋子の山菜と野草の料理」(中央公論社)
・「色で見分け五感で楽しむ野草図鑑」藤井信二 監修 高橋修 著(ナツメ社)
・「葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑」林将之 監修/写真 ネイチャー・プロ編集室 編著(ナツメ社)

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