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草木染めで服をリメイクしよう。自宅で簡単にできる藍染めのやり方

みなさんはお気に入りの洋服に色褪せや小さな汚れができてしまい、着なくなってしまった経験はありませんか?

私は生地が傷んでいるわけでもない服を捨てられず、「もっと長く着たかった」と思いつつ、タンスの肥やしにしてしまうこともしばしば。そんな悩みをもっていたときに、草木染めの本に出会いました。

試しに家族で着なくなってしまった服を持ち寄ってコーヒーや柿渋で染めてみると、想像以上に簡単にナチュラルな優しい色に染めることができました。染めものは難しいイメージもありますが、草木染めはとても手軽に、植物の力だけで衣服を再利用することができます。

そこで今回は、草木染めのなかでも代表格ともいえる藍染めのやり方と、意外と簡単に育てられるという藍の育て方をまとめてみました。

身近な植物でできる、草木染め

天然染料だけ、というこだわり

草木染めとは、天然の染料を使った染色のことを指します。いまでは当たり前になっている色とりどりの洋服には、合成染料が使用されていますが、その合成染料が発明されたのは150年ほど前のヨーロッパと言われています。

合成染料が主流になった昭和初期、それに危機感をもった山崎 斌氏が、天然染料だけを使った染色方法を「草木染め」と命名しました。

その後、自然の重要性が見直されるなかで、安心安全で環境負荷も少なく、身近な植物で試すことのできる草木染めは再び、家庭でも広く親しまれるようになりました。

草木染めの魅力

草木染めの魅力は、私たちの身の回りにある、紅茶やハーブ、タンポポなど様々な植物で試せることにあります。また、よりあざやかな色を引き出すために自然のリズムに合わせて、染色時期を見極めることも大切です。

植物によっては落ち葉で染色することあるそうなので、季節ごとに植物の移り変わりを楽しむことができますね。もちろん、原料は草木ですので、最後は土に返すことができます。

自宅で簡単にできる藍染め

消臭・紫外線防止・虫よけ効果まで! 人類最古の染料「藍」

実は藍染めされた生地には、消臭効果・紫外線防止効果・虫よけ効果・細菌の増殖抑制効果などがあると言われています。また、藍自体にも様々な薬効があり、藍は人類最古の染料と言われるほど、古くから日本や中国で重宝されてきました。

そんな伝統のある藍染めは、本格的なものであれば専門技術が必要ですが、実は生の葉さえ手に入れることができれば、自宅でも手軽に染めることができます。そして、藍の葉は庭やプランターでも簡単に育てることができるのです!

ここからは、藍の栽培方法と藍の葉を使った染色方法をお届けします。

プランターでもできる!藍の育て方

藍は青い染料がとれる植物の総称ですが、藍染めには蓼藍(タデアイ)という一年草が使われます。春に植えるとその年の夏には染色できるということなので、プランターで育ててみるのはいかがでしょうか?

蓼藍(タデアイ)の育て方

  • 直径30cmほどのプランター全体にタネをばらまきする
  • 発芽までの2週間ほどは日当たりのよい室内か、鳥に食べられないよう、ラップをかけて外に出す
  • 芽が出たらプランターを外に出して、毎日欠かさず水をあげる
  • 15~25cmほどの背丈になったら、間引きか直植え、または大きなプランターに植え替える
  • 有機肥料を施した日当たりのよい場所を用意する
  • 植え替える際は、4~5本を1株として30cm間隔で深さ5cmほどの穴に植え、苗の長さの半分くらいまで盛り土をする
  • 毎日水をあげ、背丈が30cmほどになったら根元から15cmほどのところで切りそろえる
    (ここからさらに葉が茂ります。切りそろえた葉も生葉染めに使えます)
  • 葉の大きさが10cm以上に育ったら、先端の葉を摘むか、根元から15cmほどのところで収穫する(6~9月)

種のとり方

自宅で育てた藍はすべてを刈り取らず、そのまま種を収穫すれば毎年藍染めを楽しむことができます。種は自宅で採取することで、環境に適応しよりその土地で育ちやすい植物になりますので、自家採種するのがおすすめです。

  • 夏の終わりには白い花がさき、種をつける
  • 種ができたら根元から刈り取って逆さに吊って乾燥させる
  • 乾燥したら殻をもんで種を取り出し、種が呼吸できる容器(紙袋や蓋がコルクの瓶)で翌年まで保存する

特別な材料不要。生葉染めのやり方

生葉染めは火を使わずにできるので、お子さんとも試しやすい染色方法です。よく染まる素材は動物性のシルクかウールで、コットンや麻は染まりにくいそうです。

材料

・染めたい布(前処理として湯通しまたは水で濡らして絞る)
※コットンを染めたい場合は、豆汁下地をつけると染まりやすいです
・布の2~3倍の量の藍の葉
・染色用のボウル(ステンレスかホーロー)
・目の細かい大きめの布
・ミキサー(またはネット)
・ゴム手袋(着色が気になるかたは)
・オキシドール(なくても可)

染め方

  1. 1ℓの水に約50gの生の葉をミキサーに入れて、1分間砕く
    (ミキサーがなければちぎってネットに入れ、水の中でよく揉んでください)
  2. 目の細かい布でよく濾して染料液をつくる
  3. すぐに前処理した布を浸し、染料液のなかで布をよく動かす
  4. 軽く絞って、布を広げて空気にさらす※
  5. 4~5の工程を15分~20分(7,8回ほど)繰り返すとだんだんと布が青くなる
  6. 色が決まったら、色を定着させるためにオキシドールを20ccいれた水2ℓに15分浸ける
    (オキシドールを使用しない場合は水洗いをする前に、30分ほど天日干しをしてください)
  7. 水洗いして天日干しして完成

※室内で布を広げることが難しい場合
・布が染料液から出ないように気をつけ、時々箸で裏返しながら30~60分ほど浸す
・よく絞ってから空気にさらす(濃くしたい場合にはもう一度浸けておく)
・その後、水洗いし、風通しのいい日陰で干して完成

染めるときのコツ

  • 晴れた日に染色し、すぐに天日干しできるときれいな青ができます。
  • 染料液は空気に触れると酸化してしまうため、ミキサーにかけてから20分以内に作業できることが望ましいです。
  • 染色用の容器の目安は、ハンカチ数枚なら3ℓ、薄手のセーターで10ℓほどです。

編集を終えて

今回は、草木染めのなかでも特に歴史の深い藍をつかった生葉染めの方法をご紹介しました。

藍といえばジャパンブルーと言われる濃紺がイメージされやすいですが、生葉染めは、空の青さのようなあさぎ色に染まるそうです。自分が育てた植物でそんな色の服に染められたら、外にでかけるのがより楽しくなりますね。

次に藍を育てられるのは来年になってしまいますが、冬から藍の栽培スペースと土を用意して、楽しみに待ちたいと思います。SOWERSでもいつか、草木染めを皆さんと試してみたいです!皆さんもぜひご自宅で、藍染めに挑戦してみてはいかがでしょうか?

参考文献

『草木染 四季の自然を染める』ー山崎和樹(山と渓谷社)
『Hobby Days はじめての草木染・麻を染める』ー山崎和樹(美術出版社)
『自然の色が優しい草木染』ー箕輪直子(雄鶏社)
『草木染めをしてみませんか 工房で、キッチンで』ー山崎桃麿、箕輪直子(淡交社)

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Noa

Noa

SOWERS libraryチーフライター

「本当に豊かな暮らし」を求めて、20代で世界中のエコビレッジやサステナブルなコミュニティに滞在。世界の生きたパーマカルチャーな暮らしに触れてきた。ライフワークはコーチング。現在、パーマカルチャーセンタージャパンにてデザインコースを履修中。 SOWERS創業メンバーであり、SOWERSlibraryのチーフライター。

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