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2023年は国際雑穀年!雑穀のサステナブルな特徴と育てかた

みなさんは、2023年は国連が定める「国際雑穀年(the International Year of Millets)」だということをご存じでしょうか。

雑穀といえば、日本では最古の穀物といわれているアワや、桃太郎のキビ団子など、私たちの文化ともなじみの深い存在ですが、実は、雑穀はヘルシーで私たちの身体に良いだけでなく、豊かな自然環境を守ることにもつながるサステナブルな食べ物として、国際的に注目されています。

今回は、人にも地球にも優しい雑穀の「サステナブル」な特徴に焦点を当ててお届けします。

「来年は、プランターで何か育ててみたいな。でも手がかかりすぎるものだと育てられる自信がない…」そんな方でも、雑穀は比較的簡単に育てることができます。この記事の最後に、雑穀の育て方についてもまとめていますので、ぜひこの記事を読んで、チャレンジしてみてください。

身体にいいだけじゃない!雑穀がサステナブルな理由とは?

環境の変化に強く、農薬に頼らず育てられる

雑穀は古くから各地域で栽培され、進化してきたため、種類が非常に多く、日本では約800系統、アメリカのNPOでは約2000系統の種子が確認されているといいます。進化の過程でその地域の環境に適応しているため、環境の変化や病気に強く、合成肥料や農薬へ頼ることなく育てることができます。

そのため、雑穀は農薬への過度な依存や、環境への負担を減らしながら、安定的に生産することができる穀物ということができます。国連は、現代の気候変動や世界的な人口増加によるリスクを減らすためにも、栄養が豊富なだけでなく、サステナブルに生産できる雑穀の可能性を認識し、「国際雑穀年」を制定しました。

大気中の二酸化炭素を大地に返す

雑穀は、主に小粒の種をつけるイネ科植物を指します。繊維質の多いイネ科の植物は炭素含有量が高いため、大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素を土に返す役割も担っています。

大気中の二酸化炭素は地球温暖化をもたらしますが、植物の光合成を通して炭素になると生命の身体を構成する大切な有機物になり、生態系を循環していきます。雑穀を育てることは環境負荷を減らすだけではなく、生態系を豊かにすることにもつながるのです。

パーマカルチャーにおける雑穀の役割:重要機能のバックアップ

パーマカルチャーのデザイン原則には、「重要機能のバックアップ」という原則があります。これは、食糧やエネルギー供給源などの生活に欠かせない機能を担うものはバックアップをつくっておこう、という考え方です。それによって、その生態系やシステムの耐久性・回復力を高めることができます。

穀物は、私たちの食事に欠かせない「重要機能」を担っていますから、お店から買う米や小麦だけでなく少量でも雑穀を育てることで、「バックアップ」をもっておくことができます。自然災害のリスクが高く、世界情勢の不安定な現代では、私たちの暮らしを持続可能にしていくためにも、大事な考え方なのかもしれません。

雑穀を育てよう!

雑穀を育てはじめるに知っておきたい基本情報

意外と知られていませんが、近年、スーパーフードとして人気のキヌアやアマランサスなども雑穀に分類されます。雑穀にはタンパク質、食物繊維のほか、日本人が不足しがちな鉄分、葉酸、カルシウム、ビタミンやミネラルなどが豊富で、貧血や糖尿病の予防や腸内環境を整える効果が期待できます。

丈夫で育てやすいので、小さな庭やベランダがあれば、簡単に育ち、採れた種は翌年につないでいくことができるので、長く楽しむことができます。

種は、伝統野菜 固定種の種を販売している「野口のタネ」で購入が可能です。(近くに栽培している人がいれば、その人から種をもらうのがベストです!)

幸運なことに、雑穀は丈夫で育てやすく、小さな庭やベランダでも簡単に栽培が可能です。また、採れた種は翌年につないでいくことができるので、長く楽しむことができます。

プランターでの栽培方法

蒔きどき :5~6月
収穫時期 :
9~10月
プランター:
深さ30cm以上のもの
育て方  :
・1つの穴に3粒ほど種を蒔き、1cmほど土をかぶせる。
・毎日水やりをし、発芽後一ヶ月に2回、間引きを行う。(1か所につき3本になるように)
・40~50cmくらいまで育ったら、追肥をして、水やりの頻度を週2回程度にする。
・11月頃、穂が色づいたら茎が約40cm残るところで収穫する。
・収穫後10日ほど乾燥させたら、ミキサーなどにかけて、脱穀する。

編集後記

今回は、きたる国際雑穀年に向け、調べれば調べるほど奥が深い、雑穀の世界についてお届けしました。

雑穀の実る写真を眺めていたら、数年前、イギリスにあるシューマッハカレッジという大学院を訪れたときのことを思い出しました。その大学院にはとても美しくデザインされた畑があるのですが、その季節はアマランサスのピンクの実がたわわになっていて、その収穫をさせてもらいました。

土地の豊かさを五感で感じた印象深い経験を思い出し、来年は自宅のベランダでも雑穀栽培に挑戦しようと決意しました!みなさんも、よい雑穀年をお迎えください。

参考文献

つぶつぶBlog
https://tubutubu-officialblog.net/category/cultivation
生き物の文明への黙示録
http://www.milletimplic.net/

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Noa

Noa

SOWERS libraryチーフライター

「本当に豊かな暮らし」を求めて、20代で世界中のエコビレッジやサステナブルなコミュニティに滞在。世界の生きたパーマカルチャーな暮らしに触れてきた。ライフワークはコーチング。現在、パーマカルチャーセンタージャパンにてデザインコースを履修中。 SOWERS創業メンバーであり、SOWERSlibraryのチーフライター。

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