皆さんは”理想の暮らし”と聞いたとき、どんな光景を思い浮かべますか?わたしは、ポットラックの記事にも書いたように、その土地のコミュニティの人と食卓を囲んでいる姿が思い浮かびます。
パーマカルチャーというと、「自給自足がしたいの?」と聞かれることがありますが、すべてを1人で完結させるのではなく、地域や人、自然とのつながりを豊かにすることで、持続可能な循環のなかに生きること、そのデザインがパーマカルチャーなのではないかと思います。
本日は、Permaculture Apprenticeのウィリアム・ホーバスさんの記事から、パーマカルチャーライフに必須のコミュニティの探しかたについて、コミュニティへの移住をお考えの方や、自分でコミュニティを築きたい人が知っておくべき情報を、2部作でお届けします。(原題:”Relocation Guide: How to find a like-minded permaculture community in changing times”)
それでは、お楽しみください!
希望に溢れるパーマカルチャー・コミュニティのある暮らし
パーマカルチャー農園や持続可能なライフスタイルが当たり前のエリアに住むことを想像してみてください。
資源を共有し、作ったものを交換することができる仲間と、同じ価値観や理想を持ち、土地を破壊するのではなく、再生する暮らしを実現しています。
オーガニックな食材を囲んで、環境再生のための活動や、地域文化やイベントが当たり前のコミュニティで、ときには焚き火をして、地域の人たちを招いてマシュマロを焼いたり、お酒を飲んだり、パーマカルチャーや環境再生型農業(regenerative agriculture)について話し合うのが日常的にあるコミュニティでの暮らしはとても希望に溢れた理想の暮らしではないでしょうか。
暮らしを彩るコミュニティの重要性
パンデミックのあと、エネルギーの枯渇、気候変動が深刻になる世界の中で、社会的な側面や、さまざまな緊急事態をみんなで乗り越えるということだけでなく、サバイバルという観点からも、コミュニティは最も重要な要素のひとつになるはずです。
デイビッド・ホルムグレン(パーマカルチャー提唱者のひとり)は、パーマカルチャーの実践者は、これまでと同じ生活を続けるためにも、同じ価値観を持つ人々のサポートをこれまで以上に大切になっていくと言っています。
そこで、この記事では、移住して農場や持続可能な暮らしを始める場所を決める前に、価値観の合う仲間がいる場所を見つけるために、さまざまな地域を検討するのに役立つ評価ツールやフレームワークを紹介したいと思います。
自分に合ったパーマカルチャー・コミュニティを見つけるために大切なこと
パーマカルチャーコミュニティの観点から、その地域が自分の価値観に適しているかどうかを検討する際に、大切にしたいポイントが2つあります。
- 周りに同じ価値観をもつパーマカルチャーの実践者がいるか?
- その土地の文化はどのようなものか?
自分が新しく来たよそ者で、みんなと違うことをして、それをみんなに押し付けるような状況を避けるためにも、とても重要にしたいポイントです。
今日は、この2つの側面のうち、1つ目の「周りに同じ価値観をもつパーマカルチャーの実践者がいるか?」について、詳しくお伝えいたします。
周りに同じ価値観をもつパーマカルチャーの実践者がいるか?
まずはその地域に同じ価値観をもつ仲間がいるかどうかを確認して見ましょう。仲間というのは、環境再生型の農家、自給自足をする人々、パーマカルチャー志向のコミュニティなど、さまざまな人々を含みます。
このような人たちを多く見つけることができれば、その地域にはすでに相性の良い人たちのコミュニティがあり、それを支える社会的インフラがある可能性が高くなります。
これからおすすめするいくつかのウェブサイトでは、コミュニティグループや個々のプロジェクトの場所を地図上に示した、さまざまなリストから興味のあるコミュニティや活動について調べることが可能です。
コミュニティグループ(パーマカルチャー志向のコミュニティ)
Foundation for Intentional Community / Global Ecovillage Network
パーマカルチャーや、サステナビリティ、再生可能な生活を中心としたコミュニティやエコビレッジの所在地を見ることができます。このようなコミュニティが近くにあれば、人脈づくりやモノや知識の交換など、さまざまな機会が生まれるきっかけになると思います。
パーマカルチャーの個人プロジェクト
おそらく最も包括的な世界中のパーマカルチャープロジェクトのリストを見ることができます。パーマカルチャー農園や持続可能な暮らしをする人、教育の機会がその地域にあるかどうかを確認してみてください。
また、”people”タブを使えば、その地域にパーマカルチャーの実践者、先生、コンサルタントがいるかどうかを知ることができ、その人たちとつながることができます。
環境再生型農園(Regenerative farms)
Regeneration Internationalのウェブサイトでは、世界中の環境再生型農場に関する素晴らしいマップを見ることができます。私がネットでリサーチした中では、最も包括的なマップの一つです。(こちらのサイトは現在サイトへのアクセスが出来なくなっているようです。更新され次第、アップデートします2022/09)
この地図を使って、その地域に環境再生的に土地を管理している人がいるかを調べてみてください。
フリーダムセル
自由をこよなく愛する人には、Freedom Cell Networkのウェブサイトを見ることをお勧めします。(注意:地図にアクセスするためには、まず登録する必要があります。)
そこには、すでにシステムに頼らず生きている、世界中の組織やグループ(フリーダム・セル)と、個々のメンバーの所在地が掲載されています。マップを使って、あなたの仲間がその地域にいるかどうかを判断してください。
日本のパーマカルチャー・マップ
実は日本でも、パーマカルチャーを実践する人たちが登録できるマップ作りが試作的に行われているようです。
残念ながら、今回紹介されている海外のサイトには日本から登録されている場所は少ないため、日本のパーマカルチャー・コミュニティやサステナブルな取り組みがされている地域を知りたい方はぜひこちらを覗いてみてください。
http://www.jiro.link/sheet2gmap/index.html?fbclid=IwAR1cfViT7AKC65QZerNj0SL-hRe36TV38rwKGHxpcIRL1SIFYjF7JRcBneA
まとめ
評価の最初の部分、つまり周りに仲間かがいるかどうかを調べることです。もしその地域に誰か仲間がいたなら、それはその場所がパーマカルチャー・コミュニティの観点から、比較的良い場所であることを示す良い指標となります。
それでも、その地域で日々どのような暮らしが行われているのかまでは、あまりわかりません。パーマカルチャーや自立、持続可能性、適応力(レジリエンス)にあまり価値を置いていないコミュニティの中で、この人たちは異端者かもしれません。
ですから、2番目のその土地の文化はどのようなものか?を見る必要があるのです。
いかがでしたでしょうか。今回は、「周りに同じ価値観をもつパーマカルチャーの実践者がいるか?」についての評価ツールを中心に、どこにどんなパーマカルチャー・コミュニティがあるのかを探す方法についてご紹介をしました。
実際にマップを開いてみると、世界中に数えきれないほどのパーマカルチャー・コミュニティが存在していることがわかりました。すでに、こんなにも多くの人が、同じ志や理想を持って実践していることに、希望が湧いてきました。
次回は、コミュニティの日常の暮らしや文化を評価するための基準となる視点についてお届けします。豊かなコミュニティにはどんな暮らしがあるのだろうか?と考えさせられるきっかけになる内容となっておりますのでぜひご覧ください。
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