突然ですが、皆さんの家はどんな素材でつくられていますか?
自然と調和した家は過ごしやすく、様々な風土・環境の条件を緩和する仕組みにあふれていますよね。
さらに建物は、いずれ壊される日をむかえます。
自然に配慮した素材は、壊された先に周りの生態系に資源として還しやすいというメリットもあります。
今日は、世界にある環境配慮型の住環境・パーマカルチャー建築をお届けします!
日本におけるパーマカルチャー建築
江戸時代の建築
日本のパーマカルチャー建築・環境に配慮した自然と調和する家づくりといえば江戸時代の建築がまさにそれにあたるのではないでしょうか。
衣食住、様々な点で循環の社会システムだったと言われる江戸時代。
民家に使われている素材も、木、稲藁、竹、ススキなど自然素材で、すべて植物でした。
建具は取り外しやメンテナンスがしやすいつくりになっていて、取り壊される家からまた違う家へと再利用されることがほとんどでした。
その他にも、深い庇で雨や太陽光を避けたり、縁側や板の雨戸を設けることで空気を遮断する層ができ、暑さ寒さに対応できる造りになっていたそうです。 現代に比べれば質素で不便に感じられますが、自然に寄り添い、生態系を壊すことのない暮らしがそこにありました。
日本を代表するパーマカルチャー設計士|山田貴宏さん
日本を代表するパーマカルチャーの学校、パーマカルチャーセンタージャパンで講師を務めるビオフォルム環境デザイン室代表、建築士山田貴宏さんは、日本で環境と調和する建築に取り組むお一人です。
山田さんの考えは、「国産材と自然素材を活用し、地産地消でかつ伝統的な木の家造り」という視点で一貫しており、パーマカルチャーのデザイン手法・哲学を背景とした住環境づくりをめざされています。
山田さんの考え方でもっとも感銘を受けたのは、「建物には資源をストックする(貯める)役割があり、遠い将来、自然にフローされる(還る)」という考え方で、その土地の資源を使うことこそ、”ストック”する家にぴったりだと定義されています。
そんな視点から建物を見てみると、今まで無機物のように感じていた家が、命を持って動き出すような感覚がしてきませんか。
パーマカルチャーと建築
work with nature, not against 自然と共生しよう、対するのではなく
持続可能な社会を実現するためのパーマカルチャーの原理原則の中に、
work with nature, not against
自然と共生しよう、対するのではなく
という態度の指針があります。
これからご紹介する世界のパーマカルチャー建築にも、
・その地域にある資源を活用していること
・気候、風土にあった技術(伝統技術を含む)を取り入れていること
・自然と一体感があること という共通点があるように思います。
それでは一つ一つ見ていきましょう!
世界のパーマカルチャー建築
バリの竹を使用した宿泊施設|Green Villege
インドネシアを含め、アジアでは竹を建築に使用することは珍しくありません。
加工しない竹はあまり長持ちしないため、小屋などの簡素な建物が多い印象ですが、その常識をくつがえし、美しい竹の建築を作りあげたのが、バリにあるIbukuという団体です。
この建物はGreen Villageという宿泊施設として一般に貸し出したり、Green Schoolというサステナブル教育を行う学校として利用されています。
わたしも一度、見学ツアーに参加したことがありますが、建物だけでなく、教育理念や土地のデザインまでこだわりが感じられる素晴らしいパーマカルチャーサイト(場)でもあります。
イギリスのグリーンルーフ+石造りの家| Findhorn Foundation フィンドホーン財団
こちらは、イギリスはスコットランド、Findhorn Foundation(フィンドホーン財団)というエコビレッジから。
屋根は土と草で覆われており、建物は石造りに、窓枠は、ウィスキー樽の廃材を使っているそうです。
スコットランドならではですね。
普段はメディテーション等に使われており、人は暮らしていません。
暖房器具は入れていないため、冬はとても冷えますが、暖炉などがあれば、石造りなので一度温まれば、暖かいのかもしれないですね。
ちなみに、フィンドホーンでは手作りの家だけではなく、ストローベイルハウスやモダンなエコハウス、さらにはウィスキー樽ハウスも作られており、快適性と環境配慮、どちらも大事にした家づくりが発達しています。
アメリカの藁で作られた住宅|ストローベイルハウス
こちらは、ストローベイル=藁で作ったおうちです。
アメリカ中東部など、牧草地帯でモジュール化されたとの説がありますが、3匹の子豚がつくったものからはだいぶ進化していますね。
ストローベイルハウスにも宿泊したことがあり、壁の厚さに驚きました。藁作りのいえは、湿気と虫の多い日本には不向きかもしれませんが、ヨーロッパでは人が10年以上暮らしても問題なさそうでした。
軽やかさがあり、白い壁の素敵な、気持ちのいいおうちでした。
日本の瓦屋根と土壁の木造建築|里山長屋
冒頭に紹介した山田貴宏さんの設計した「里山長屋」という集合住宅です。
屋根には瓦(土由来)、柱は多摩の木材、土は土壁(土と竹)が使用されておいますが、これらの素材は、すべて再利用が可能で、自然に還る素材です。
まさに、日本文化を取り入れ、現代の暮らしに合わせてデザインされた、パーマカルチャー建築です。
この建物には4世帯が暮らしており、それぞれの家の前には庭もついています。
手前の井戸が、なんだかトトロの世界観を思わせます。
番外編|パーマカルチャーといえば!|アースバックハウス
九州にあるエコビレッジ「サイハテ」にあるこの何とも言えない、かわいいフォルムのおうちは、アースバックハウスと呼ばれています。
アメリカはカリフォルニアから生まれたアースバックハウスですが、いまでは世界中で作られており、パーマカルチャーが実践されている場所に遊びに行くと、高確率でアースバックハウスがあります。
なぜかというと、名前の通り、アースバック(つまり土嚢)を積み上げて作ることが出来るので、
・未経験者でも作れるローテクノロジー
・その地域にある土で作れる
・デザイン次第で色々出来る!
・災害に強い
などの特徴があり、パーマカルチャリストとしては一度は作ってみたくなるのだと思います。
編集後記
編集を終えて
いかがでしたでしょうか?
今回は、ほんの一部ですが世界のパーマカルチャー建築を紹介してきました。
パーマカルチャー建築の可能性は無限大ですね!
ご自身が住む土地の気候、風土、伝統、リソースに合わせて、クリエイティビティを働かせてオリジナルの家を作ってみたくなりますね!
ちょっと豆知識
調べている中で、パーマカルチャー建築についての、こんな書籍がありました。
英語が読める方や、読めなくても興味がある方はぜひ覗いてみてください。
“Building Your Permaculture Property: A Five-Step Process to Design and Develop Land (Mother Earth News Wiser Living Series)”
『訳:パーマカルチャー建築を建てる。土地をデザインし開発するための5つのステップ』
credit
Witter:Hasami
Superviser:Noriko,
Producer:Sayaka
Cover photo:Daria Nepriakhina from Unsplush,
Related&Resorce:Green Villedge, Findhorn Foundation Bio form Architect Design Studio Saihate
コメント